四|肢《し》は痲痺《まひ》している……。そして最後の音が響き終わらないうちに、諸君はすでに快活に愉快になり、叫び、笑い、批評し、喝采する。……実に諸君は、何も見ず、何も聞かず、何も感ぜず、何も理解しなかったのだ、絶対に何物も! 芸術家の苦悩も、諸君にとっては一場の見物となるのだ。一ベートーヴェンの苦悶《くもん》の涙を、諸君はみごとに描かれてると判断する。諸君は主の磔刑《はりつけけい》にたいして『も一度!』と叫ぶかもしれない。諸君の好奇心を一時間の間楽しませるためには、偉大なる魂が一生の間苦悶のうちにもがくのだ!……」
かくてクリストフは、ゲーテの偉大な言葉を、まだその尊大なる清朗さには到達していなかったけれども、みずから知らずして注釈したのであった。
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民衆は崇高なるものをもてあそぶ。されどもしその真相を知らば、あえてながめ得るの力を有せざるべし。
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クリストフはそこで止まればよかった。――しかし彼は勢いに駆られて、聴衆を通り越し、あたかも砲弾のように、聖堂の中に、神殿の中に、凡庸《ぼんよう》者の犯すべからざる避難所の中に――批評界
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