のように仕事を始め話を始めた。
夕方、クリストフが帰ってくると、ルイザはローザの世話をありがたく思っており、また自分が立てているちょっとしたある計画に従って、いつもその隣の娘をほめたててやめなかった。クリストフはローザの親切に心を動かされた。彼女が母によく尽してくれたことを見てとった。母の顔はいつもより晴やかになっていた。彼は心をこめてローザに礼を言った。ローザは言葉を言いよどんで、胸騒ぎを隠すために逃げ出した。そういう彼女の方がしゃべりたてる彼女よりも、はるかに悧口《りこう》ではるかに同情が寄せられるように、クリストフには思われた。彼は以前よりも偏見の少ない眼で彼女をながめた。そして思いもかけない美点を彼女のうちに見出した驚きを、少しも隠さなかった。ローザはそれに気づいた。彼女は彼の同情が増してきたのを認め、その同情は愛の方へ進んでいることと考えた。彼女はますます夢想にふけっていった。一身を挙《あ》げて願うことはついにはかならずかなうものだと、青春期の美しい推測で信じかけていた。――そのうえ、彼女の願いにはなんの不当な点があったろうか? 彼女の親切や身をささげたいとのやさしい要求に
前へ
次へ
全295ページ中74ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ロラン ロマン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング