にということだけですわ。」
「そんならいくら願ったって悪いことになりようはないでしょう。」とクリストフは言った。
「しッ!」とザビーネは叫んだ、「不信心なことを言っていますわ。」
「神があなたに似ていると言っても、それが不信心なことだとは私は思いません。神はきっと喜ばれるに違いありません。」
「もうよしてくださいよ!」とザビーネは言った。半ば笑い半ば気にしていた。神様が怒りはすまいかと気づかい始めていた。彼女は急いで話題を変えた。
「それに、」と彼女は言った、「気楽に庭をながめることができるのも、一週間のうちに今だけですわ。」
「そうです。」とクリストフは言った。「あの人たちがいませんから。」
 二人は顔を見合った。
「ほんとに静かですこと!」とザビーネは言った。「めったにないことですわ……なんだか変な気分がしますわ……。」
「ああ、」とにわかにクリストフは憤然と叫んだ、「あいつを絞め殺してやりたいと幾度思ったかしれない!」
 だれのことを言ってるのか説明するに及ばなかった。
「そして他の人は?」とザビーネは快活に尋ねた。
「なるほど、」とクリストフはがっかりして言った、「ローザもいる
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