とさえできなくなったのは、どういう訳だかみずからわからなかった。オットーの方は、それほど生真面目《きまじめ》になっていなかったし、またいっそうの自尊心をもって内省していたから、その間《ま》の悪さを同様にはっきりとは意識しなかったであろうが、しかし同じような失望を感じていた。事実をいえば、この二人の少年は、一週間前からたがいに相手のいないところで、感情を非常に高調していたので、現実のうちにそれを維持することができないで、たがいに顔を合わせると、最初の印象は必然に失望的なものとなってしまったのである。それを一掃しなければならなかった。しかし彼らはきっぱりとそう是認することができなかった。
 彼らは重苦しい気づまりが覆《おお》いかぶさってくるのを払いのけることができないで、終日|田舎《いなか》を歩き回った。ちょうど祭りの日で、飲食店や林の中は散歩者でいっぱいだった――小市民の連中が、方々で騒いだり食べたりしていた。それを見て彼らの不機嫌《ふきげん》さはなおつのった。そういううるさい連中のために、この前の散歩の時のように心を明け放しにすることができないのだと、彼らは考えていた。それでもたがいに
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