それで初めてよく意味がわかった。彼はぼーっとして、もう嬉《うれ》しがるだけの元気もなかった。しきりに手紙を読み返したりくちづけしたりしながら、にわかに疲労を感じて床にはいった。手紙を枕の下に置いて、たえず手で探っては、そこに手紙があることを確かめた。えもいえぬ楽しさが彼のうちに広がっていった。彼は翌日まで一息に眠った。
彼の生活はいくらかたえやすくなった。ミンナの真実な思いが身のまわりに漂っていた。彼は返事を書きかけた。しかし彼には自由に書くだけの権利がなかった。思ってることを隠さなければならなかった。それは苦しいまた困難なことだった。いつもおかしい使い方をしてる儀式ばった丁寧《ていねい》な文句の下に、恋の心を覆《おお》い隠そうとしたが、それもきわめてまずかった。
彼は手紙を出してから、ミンナの返事を待った。もはやその期待の念のうちにばかり生きていた。辛抱するために散歩や読書を試みた。しかしミンナのことばかり考えていて、ほとんど病的な執拗《しつよう》さで彼女の名をくり返し言っていた。偶像にでもたいするようにその名を愛していたので、どこへ行くにも、ミンナという名が出てるレッシングの一
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