人形のようなふうで仕事にとりかかった。しかしもう生きてゆく元気がなかった。
ある晩、彼が黙々としてうちしおれながら、家の者といっしょに食卓についている時に、郵便配達夫が戸をたたいて、彼に一封の手紙を渡した。彼はその手跡をも見ない前に、心にそれと思い当たった。四組の眼が、厚かましい好奇心をもって彼を見つめながら、いつもの退屈さから免れるような気晴らしの種をひたすら期待して、彼がその手紙を読むのを待っていた。彼は手紙を皿《さら》の横に置き、なんのことだかよくわかってるというような平気な顔をして、わざと開封もしなかった。しかし弟どもはじれだして、それを信ぜず、なおじろじろ見ていた。それで彼は食事が済むまで苦しめられた。食事が済んでから彼はようやく、自由に室の中へ閉じこもることができた。胸が高く動悸《どうき》していたので、手紙を開きながら危くそれを引裂こうとした。これからどういうことを読むかびくびくしていた。しかし初めの数語に眼を通すや否や、喜びの情が身にしみ渡った。
それはきわめて愛情のこもった文句だった。ミンナが内密に書いてよこしたものであった。「懐《なつか》しいクリスさま」と彼を呼ん
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