つ》することさえ忘れてしまった。しかし彼女は悪く思っていなかった。もうクリストフを育ちが悪いとも思っていなかった。非常にひき違いをしたというのも、それは、驚いたそして――初めて――同情のこもった好奇心をもって、なお横目で彼の様子を窺《うかが》ってやめなかったからである。
一人になると彼女は、いつものように母のところへ行くことをしないで、自分の居間にとじこもり、その異常な出来事を考えてみた。彼女は鏡の前に肱《ひじ》をついていた。自分の眼がやさしくって輝いてるような気がした。考えに耽って軽く唇を噛《か》んだ。自分のかわいい顔を嬉《うれ》しく見入りながら、先刻の光景を描き出して、真赤になり、微笑《ほほえ》んだ。食卓についた時には、元気で快活だった。それから外出を断って、午後の一部を客間で過ごした。手には編物をもっていたが、十針も正しく編むことはできなかった。しかしそんなことはどうでもかまわなかった。室の片|隅《すみ》に、母の方へ背を向けて、彼女は微笑《ほほえ》んでいた。あるいは突然はね出したくなって、大声に歌いながら室の中を飛び回った。ケリッヒ夫人はびっくりして、気違いだと呼んだ。ミンナは
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