開きながら夢想していた。そしてどれくらいの間夢想してたかみずから知らなかった。なぜなら、何にも眼にはいらなかったから。と突然、彼は駭然《がいぜん》とした。前方に、径《みち》の曲り角のところに、二人の女が立って、こちらを眺めていた。一人は――黒服の若い婦人で、ほっそりとした不揃《ふぞろ》いな顔立をし、灰色がかった金髪をもち、背が高く、優美で、取り澄さない自然の首つきをしていたが――親切そうな揶揄《やゆ》的な眼で彼を見守っていた。も一人の方は――十五歳ばかりの娘で、同じく喪服ずくめであったが――放笑《ふきだ》したくてたまらながってるような子供らしい顔付をしていた。ふり返りもしないでただ黙ってるようにと合図をしてる母親の少し後ろの方で、両手のうちに口を隠して、笑いを押えるのに一生懸命骨折ってるがようだった。色白な桃色の丸い顔をした小娘だった。心持ち太い小さな鼻、心持太い小さな口、ふっくらした小さな頤《あご》、細やかな眉毛《まゆげ》、清らかな眼、豊かな金髪。その髪は網代《あじろ》に編まれて、頭のまわりにくるりと巻きつけられ、丸い首筋と艶《つや》のいい白い額とを現わしていた。――クラナハの絵にあ
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