った。それでも二人とも、いっしょに連立ってることを知らないふりをしていた。
 雷雨になりかけていた。彼らは怒っていたので、雷雨の来るのが眼にはいらなかった。焼けるような野原は蟲の声に騒々《そうぞう》しかった。と突然、すべてがひっそりとなった。彼らは数分たってからようやくその静寂に気づいた。鳴動が聞こえていた。彼らは見上げた。空はものすごかった。重々しい鉛色の大きな雲がいっぱいになっていた。雲は騎兵が駆けるようにして四方から集まっていた。ある深淵《しんえん》に吸い込まれるかのように、眼の見えない一点に向かって駆け寄ってるかと思われた。オットーは気をもんだが、あえてクリストフにその心配をうち明けなかった。クリストフは何にも気づかないふうをして、意地悪く面白がっていた。それでも二人は、無言のままたがいに近寄っていた。野の中には他にだれもいなかった。そよとの風もなかった。ただ熱っぽい戦《そよ》ぎが、樹々《きぎ》の小さな葉を時々震わすばかりだった。するとにわかに一陣の旋風が埃《ほこり》を巻き上げ、樹木を吹きまげ、恐ろしく二人に吹きつけた。そしてまた、前よりもいっそう凄《すご》い静寂が落ちて来た。
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