った。なぜならその務めのために、野原の楽しい午後の散歩をやめなければならなかった。しかしまた彼は、一人前に取扱われるのが得意になって、りっぱにその仕事をやってのけた。子供に種々なことをしてみせて、できるかぎり面白がらせた。母親がするのを聞いたとおりに真似《まね》て、子供たちに話しかけようとした。あるいはまた母親のを見たとおりに真似て、子供を代わる代わる腕に抱いてやった。小さな弟を胸から落とすまいとして、力いっぱいに抱きしめ、歯をくいしばりながらも、重いので腰がよく伸びなかった。子供たちはいつも抱かれたがって、決してあきることがなかった。そしてクリストフにもうできなくなると、いきなり泣き出してとめどがなかった。また彼は子供たちにひどく痛い目に会わされて、しばしば途方にくれた。子供たちはよごれていて、母親らしい世話もしてやらなければならなかった。クリストフはどうしていいか分らなかった。子供たちは彼にたいして勝手なまねをした。彼も時とするとその頬辺《ほおぺた》を打ちたくなった。けれどもまた考え直した、「小さいんだ、分らないんだ。」そしてつねられたり打たれたり苦しめられたりするのに、寛大に身を
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