です。お祖父さんはそれを人に言われたがっていません。だれにもおっしゃらないでください。……(そして老人の方を指しながら)……そら、あすこにお祖父さんが。私は大好きです。私にたいへんやさしいんです。」
 そこで、若い令嬢はままます笑って、かわいい子だと言い、やたらに接吻してくれた。ところが彼女はそのことを皆に話してしまったので、クリストフと祖父とはすっかりまごついた。皆が令嬢といっしょに笑い出した。大公爵は老人にお祝いを言った。老人はまったく当惑して、申しわけをしようとしても言葉が出ないで、あたかも罪人のように口ごもっていた。クリストフはもう若い令嬢に一言も口をきかなかった。種々からかわれても、黙り込んで堅くなっていた。約束を破ったので彼女を軽蔑していた。高貴の人々にたいする彼の考えは、この不信実によって深く害された。彼は非常に憤慨していたので、人々の言うことも、また大公爵が笑いながら彼を、常任ピアニストに、宮廷音楽員に任命したことも、もう少しも耳にはいらなかった。
 彼は家の者といっしょに出て行った。そして劇場の歩廊や、また街路でまで、人々に取囲まれて、お祝いを言われたり、抱擁されて困
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