《さる》のようだと悲しげに叫んだ。その言葉はひどく彼をがっかりさした。彼自身もその服装を誇っていいか恥じていいかわからなかった。本能的に彼は屈辱を感じた。音楽会ではなおさらであった。彼にとってはそういう屈辱の感が、この記念すべき一日のおもな感情であることになった。

 音楽会はこれから始まるところであった。坐席の半ばは空《あ》いていた。大公爵はまだ来ていなかった。こういう場合にはいつもあるとおり、一人の親切な物知りの友人がやはりいて、宮邸には評議会があるので大公爵は来られまいという消息をもたらしてきた。確かな筋から出た消息だそうだった。メルキオルは落胆し、気をもみ、行ったり来たりし、窓から覗《のぞ》き出した。ジャン・ミシェル老人の方も心痛していた。しかしそれは孫のことについてであった。彼はやたらに世話をやいていた。クリストフは家の者たちの熱心さにかぶれていた。自分の楽曲についてはなんらの不安も感じなかった。ただ公衆に向かってなすべき挨拶《あいさつ》のことを考えては、心を乱していた。そしてあまり考えてばかりいたので、それが苦悶《くもん》の種とまでなった。
 そのうちに、いよいよ始めなけれ
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