えることができなかった。夜中に起き上がって、戸の下に鍵を置き、梱《こり》をかついで出かけてしまった。いく月もつづいて姿を見せなかった。それからまたもどって来た。夕方、だれかが戸にさわる音がした。扉が少し開いた。そして、丁寧《ていねい》に帽子をぬいだ小さな禿頭《はげあたま》が、人のいい眼付とおずおずした微笑といっしょに、そこに現われた。
「皆さん今晩は、」と彼は言った。はいる前によく靴《くつ》を拭《ふ》き、皆に一人一人年長順に挨拶《あいさつ》をし、室のいちばん末席に行ってすわった。そこで彼はパイプに火をつけ、背をかがめて、例の悪洒落《わるじゃれ》の嵐《あらし》が過ぎ去るのを静かに待った。二人のクラフト、祖父と父とは、彼にたいして嘲弄《ちょうろう》的な軽蔑《けいべつ》をいだいていた。その矮小《わいしょう》な男が彼らにはおかしく思われた、そして行商人という賤《いや》しい身分に自尊心を傷つけられていた。彼らはそのことをあからさまに見せつけていた。しかし彼は気づかないらしかった。彼らに深い敬意を示していた。そのために彼らはいくらか和らげられた。とくに老人の方は、他人が示してくれる尊敬にいたく感じ
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