その時彼は、ファンファーレを鳴らして急《せ》きたてた。――食堂から寝室へ厳《おごそ》かにやって行くためには、揚々たる行進曲《マーチ》をみずから奏した。その場合時には、二人の弟とともに行列を組立てた。三人とも順々に並んで、堂々とねって歩き、各自に自分の行進曲をもっていた。しかしクリストフは、最もりっぱな曲を当然自分のものとしていた。右の多くの音楽のおのおのは、厳密にそれぞれの場合にあてはめられていた。クリストフは決してそれらをたがいに混同しようとはしなかった。他の者ならだれでもそれを取違えるかもしれなかった。しかし彼は明確にその音色を区別していた。
ある日彼は、祖父の家で、頭をそり返し腹を前につき出して、踵《かかと》で調子をとりながら、室の中をぐるぐる回っていた。自作の曲の一つをやってみながら、心持が悪くなるほどいつまでもぐるぐる回っていた。――老人は髯《ひげ》を剃《そ》っていたが、その手を止めて、石鹸《せっけん》だらけな顔をつき出し、彼の方を眺めて言った。
「何を歌ってるんだい。」
クリストフは知らないと答えた。
「も一度やってごらん。」とジャン・ミシェルは言った。
クリストフは
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