、第3水準1−94−6]《こめかみ》のあたりは毛が薄くなっていた。縮れた金髪の間から、頭の頂上に早老の禿《はげ》が見えていた。青い眼は眼差《まなざし》がぼんやりしていた。小さな赤い口髯《くちひげ》の下に、皮肉そうな口が、眼に止まらないくらいの種々な動きにひきつって、じっとしてることは滅多になかった。背は高かった。そして、窮屈な気持のせいではないが、疲労のせいかあるいは退屈のせいかで、姿勢がしっかりしてはいなかった。ふらふらした大きな身体を、あるいはしとやかなあるいは荒っぽい身振りとともに、ちょうどその音楽のように波動させながら、自由気ままな軽快さで指揮していた。非常な神経質であることが見てもわかった。そしてその音楽は、彼自身の反映であった。躍りたった急激な彼の生命が、通例は無味平静な管弦楽の中にまではいり込んでいた。クリストフは息をはずませた。人の注目を受けはすまいかと恐れながらも、席にじっとしてることができなかった。身体を動かしたり、立上がったりした。音楽からいかにも激しいまた意外な振動を受けて、彼は頭や腕や足を動かすのを押えることができなかった。近くの人々は非常に迷惑して、できるだ
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