邸の窓を窺《うかが》いながら半日を過ごして、ようやく自分を慰めていた。たいていは雨戸ばかりしか見えなかった。ハスレルは朝寝坊で、窓はたいてい午前中閉められたままだった。そのために、ハスレルは日の光にたえられないで常に暗闇の中で生活してるのだと、物知り顔の人々は言っていた。
ついにクリストフは、その偉人に近づくことができた。それは公演の日だった。町じゅうの人が集まっていた。大公爵と廷臣らは、大きな貴賓席を占めていた。その桟敷《さじき》の上には、豊頬《ほうきょう》の天使が二人、足を踊らして、王冠を宙にささげていた。劇場のありさまはあたかも祭典のようだった。舞台は樫《かし》の枝や花咲いた月桂樹《げっけいじゅ》で飾られていた。多少手腕のある音楽家は皆、管弦楽団に加わるのを名誉としてた。メルキオルは自分の位置につき、ジャン・ミシェルは合唱団《コーラス》を指揮していた。
ハスレルが現われると、四方から喝采《かっさい》が起こった。婦人たちは彼の姿をよく見るために立上がった。クリストフはじっと見つめた。ハスレルは若いすっきりした顔をしていたが、それもすでに多少ふくれて疲れていた。顳※[#「需+頁」
前へ
次へ
全221ページ中157ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ロラン ロマン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング