と。クリストフは[#「クリストフは」は底本では「クリストスは」]祖父から大人並に話しかけられるのを感謝していて、その質朴《しつぼく》な言葉に内心動かされた。彼の子供らしい堅忍と生まれながらの傲慢《ごうまん》とは、その言葉をよく受けいれた。
しかしいかなる議論よりも、ある音楽的な情緒についての深い記憶の方がより強く、彼がいたずらに反抗せんと試みていたその厭《いや》な芸術に、一生涯彼を知らず知らずのうちに結びつけ、彼を奉仕せしめた。
ドイツの風習として、この町にも一つの劇場があって、歌劇《オペラ》、喜歌劇《オペラコミック》、軽歌劇《オペレット》、正劇《ドラマ》、喜劇《コメディー》、俗謡劇《ヴォードヴィル》、その他およそ上演できるものならいかなる種類のものもいかなる体裁のものも皆演ぜられていた。開演は一週に三度で、晩の六時から九時までだった。ジャン・ミシェル老人は一度も見物を欠かしたことがなく、どの出物《だしもの》にたいしても同じ興味を示していた。一度孫をいっしょに連れてってやった。数日前から彼にその劇の内容を長々と語ってきかした。クリストフにはそれが少しも了解できなかった。しかし恐ろし
前へ
次へ
全221ページ中145ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ロラン ロマン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング