》! そうだ人非人だ!……おれは大嫌いだ。大嫌いだ。……死んじまうがいいや、死にやがれ!」
 彼は胸がいっぱいになっていた。ねちねちした階段を、壊れた窓ガラスの上に風に揺られてる蜘蛛《くも》の巣を、絶望的に眺めていた。不幸の中に一人ぽっちで落ち込んだような気持だった。彼は手摺《てすり》の棒の間の空間を眺めた。……もし下に飛び降りたら?……あるいは窓からでも?……そうだ、懲《こ》らしめのために自殺してやったら? 彼奴《あいつ》らはどんなに後悔するだろう! 自分が階段から落ちる音が耳に響いた! 上の扉が急いで開かれた。悲痛な声が叫んでいた、「あれが落《おっ》こった! 落こった!」足音が階段をころび降りてきた。父が、母が、泣きながら彼の身体にとびついた。母はすすり上げていた、「あなたのせいです、あなたがこの子を殺したんです!」父は腕を振り動かし、ひざまずき、手摺に頭をぶっつけながら、叫んでいた、「おれが悪いんだ、おれが悪いんだ!」――そういう光景は、彼の苦しみを和らげた。彼は嘆いてる人たちを憐れもうとしかけた。しかし、彼等にはこれがちょうどいい報いだと後から考えた。そして復讐の光景を味わった
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