たちはその褒美《ほうび》として、睡眠中に神様からさらわれてお側《そば》に呼び寄せられ、しかもなんの苦しみも受けないそうであったが、彼はそういう子供を少しもうらやましいとは思わなかった。眠る時になると、神様が自分にたいしてもそういう悪戯《いたずら》をしはすまいかと、うち震えていた。ふいに温かい寝床から引き出され、虚空《こくう》に引きずってゆかれ、神様の前に立たされるのは、思っても恐ろしいことに違いなかった。神というものを、雷のような声を出す非常に大きな太陽みたいに、彼は頭の中で想像していた。どんなにか大きな危害を受けるに違いなかった。眼をやき、耳をやき、魂をも焼きつくすに違いなかった! それから、神は罰を下すかもしれなかった。どうだかわかるものではない……。――そのうえ、他の種々な恐ろしいこともそのためになくなりはしなかった。それらの恐ろしいことを彼はよく知ってはいなかったが、しかし人々の話でおおよそは察せられた。身体を箱の中につめられ、穴の底に一人ぽっちにされ、多くの厭《いや》な墓の中にほうり出され、そこで祈らせられること……。ああ、ああ、なんという悲しいことか!……
 そうかといって
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