きぶん》になり、赤《あか》い靴《くつ》を穿《は》いて、踊《おど》りながら、家《うち》の中《なか》へ跳込《とびこ》んで来《き》ました。
「ああ、」とマリちゃんが言《い》った。「わたしは、戸外《おもて》へ出《で》るまでは、悲《かな》しかったが、もうすっかり胸《むね》が軽《かる》くなった! あれは気前《きまえ》のいい鳥《とり》だわ、わたしに赤《あか》い靴《くつ》をくれたりして。」
「いいえ、」といって、お母《かあ》さんは跳《は》ね起《お》きると、髪《かみ》の毛《け》を焔《ほのお》のように逆立《さかだ》てながら、「世界《せかい》が沈《しず》んで行《ゆ》くような気《き》がする。気《き》が軽《かる》くなるかどうだか、あたしも出《で》て見《み》ましょう。」
そう言《い》って、扉口《とぐち》を出《で》る拍子《ひょうし》に、ドシーン! と鳥《とり》が石臼《いしうす》を頭《あたま》の上《うえ》へ落《おと》したので、おかあさんはぺしゃんこに潰《つぶ》れてしまいました。その音《おと》をきいて、お父《とう》さんと娘《むすめ》が、内《うち》から跳出《とびだ》して見《み》ると、扉《と》の前《まえ》には、一|面《め
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