とこ》は、総《そう》ががかりで、「ヨイショ、ヨイショ!」と棒《ぼう》でもって石臼《いしうす》を高《たか》く挙《あ》げました。鳥《とり》は真中《まんなか》の孔《あな》へ頭《あたま》を突込《つきこ》んで、まるでカラーのように、石臼《いしうす》を頸《くび》へはめ、又《また》木《き》の上《うえ》へ飛上《とびあが》って、歌《うた》い出《だ》しました。
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「母《かあ》さんが、わたしを殺《ころ》した、
父《とう》さんが、わたしを食《た》べた、
妹《いもうと》のマリちゃんが、
わたしの骨《ほね》をのこらず拾《ひろ》って、
手巾《はんけち》に包《つつ》んで、
杜松《ねず》の樹《き》の根元《ねもと》へ置《お》いた。
キーウィット[#「キーウィット」は底本では「キイウィット」]、キーウィット、何《なん》と、綺麗《きれい》な鳥《とり》でしょう!」
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歌《うた》ってしまうと、鳥《とり》は羽《はね》を拡《ひろ》げて、右《みぎ》の趾《あし》には、鎖《くさり》を持《も》ち、左《ひだり》の爪《つめ》には、靴《くつ》を持《も》ち、頸《くび》のまわりには、石臼《い
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