うた》って見《み》な。」
「いえいえ、」と鳥《とり》が言《い》った。「ただじゃア、二|度《ど》は、歌《うた》いません。それとも何《なに》かくれますか。」
「女房《にょうぼう》や、」と靴屋《くつや》が言《い》った。「店《みせ》へ行《い》って、一|番《ばん》上《うえ》の棚《たな》に、赤靴《あかぐつ》が一|足《そく》あるから、あれを持《も》って来《き》な。」
 そこで、おかみさんは行《い》って、その靴《くつ》を持《も》って来《き》ました。
「さア、鳥《とり》や、」と靴屋《くつや》が言《い》った。「もう一|度《ど》、あの歌《うた》を歌《うた》って見《み》な。」
 すると鳥《とり》はおりて来《き》て、左《ひだり》の爪《つめ》で靴《くつ》を受取《うけと》ると、又《また》家根《やね》へ飛《と》んで行《い》って、歌《うた》い出《だ》しました。
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「母《かあ》さんが、わたしを殺《ころ》した、
 父《とう》さんが、わたしを食《た》べた、
 妹《いもうと》のマリちゃんが、
 わたしの骨《ほね》をのこらず拾《ひろ》って、
 手巾《はんけち》に包《つつ》んで、
 杜松《ねず》の樹《き》の根
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