星の銀貨
DIE STERNTALER
グリム兄弟 Bruder Grimm
楠山正雄訳
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)寝床《ねどこ》
−−
むかし、むかし、小さい女の子がありました。この子には、おとうさんもおかあさんもありませんでした。たいへんびんぼうでしたから、しまいには、もう住むにもへやはないし、もうねるにも寝床《ねどこ》がないようになって、とうとうおしまいには、からだにつけたもののほかは、手にもったパンひとかけきりで、それもなさけぶかい人がめぐんでくれたものでした。
でも、この子は、心のすなおな、信心のあつい子でありました。それでも、こんなにして世の中からまるで見すてられてしまっているので、この子は、やさしい神さまのお力にだけすがって、ひとりぼっち、野原の上をあるいて行きました。すると、そこへ、びんぼうらしい男が出て来て、
「ねえ、なにかたべるものをおくれ。おなかがすいてたまらないよ。」と、いいました。
女の子は、もっていたパンひとかけのこらず、その男にやってしまいました。そして、
「どうぞ神さまのおめぐみのありますように。」と、いのっ
次へ
全3ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
グリム ヤーコプ・ルードヴィッヒ・カール の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング