つきました。はずみで、ばあさんは、かまどの中へころげこみました。すぐ、鉄の戸をぴしんとしめて、かんぬきをかってしまいました。うおッ、うおッ、ばあさんはとてもすごい声でほえたけりました。グレーテルはかまわずかけだしました。こうして、罰《ばち》あたりな魔女は、あわれなざまに焼けただれて死にました。
グレーテルは、まっしぐらに、ヘンゼルのいる所へかけだして行きました。そして、犬ごやの戸をあけるなり、
「ねえヘンゼル、あたしたちたすかってよ。魔女のばあさん死んじゃってよ。」と、さけびました。
戸があくと、とたんに、ヘンゼルが、鳥がかごからとび出したように、ぱあっととび出して来ました。
まあ、ふたりは、そのとき、どんなにうれしがって、首っ玉にかじりついて、ぐるぐるまわりして、そしてほほずりしあったことでしたか。こうなれば、もうなんにもこわがることはなくなりましたから、ふたりは魔女のうちの中に、ずんずんはいって行きました。うちじゅう、すみからすみまで、真珠《しんじゅ》や宝石のつまった箱だらけでした。
「こりゃ、小砂利《こじゃり》よりずっとましだよ。」と、ヘンゼルはいって、かくしの中に入れられ
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