かわいそうなグレーテルを、パンやきかまどの方へ、ひどくつきとばしました。かまどからは、もうちょろちょろ、ほのおが赤い舌を出していました。
「なかへ、はいこんでみなよ。」と、魔女はいいました。「火がよくまわっているか見るんだ。よければそろそろパンを入れるからな。」
これで、もし、グレーテルがなかにはいれば、ばあさん、すぐとかまどのふたをしめてしまうつもりでした。すると、グレーテルは中で、こんがりあぶられてしまうところでした。そこで、これもついでにもりもりやってしまうつもりだったのです。でも、グレーテルは、いちはやく、ばあさんのはらの中を見てとりました。そこで、
「あたし、わからないわ、どうしたらいいんだか。中へはいるって、どういうふうにするの。」と、いいました。
「ばか、このくそがちょう[#「がちょう」に傍点]。」と、ばあさんはいいました。
「口はこんなに大きいじゃないか、目をあいてよくみろよ。このとおり、おばあさんだってそっくりはいれらあな。」
こう言い言い、やっこら、はうようにあるいて来て、パンやきかまどの中に、首をつっこみました。ここぞと、グレーテルはひとつき、うしろからどんと
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