》まって登《のぼ》って来《く》るのです。
二三|年《ねん》経《た》って、或《あ》る時《とき》、この国《くに》の王子《おうじ》が、この森《もり》の中《なか》を、馬《うま》で通《とお》って、この塔《とう》の下《した》まで来《き》たことがありました。すると塔《とう》の中《なか》から、何《なん》とも言《い》いようのない、美《うつく》しい歌《うた》が聞《き》こえて来《き》たので、王子《おうじ》はじっと立停《たちど》まって、聞《き》いていました。それはラプンツェルが、退屈凌《たいくつしの》ぎに、かわいらしい声《こえ》で歌《うた》っているのでした。王子《おうじ》は上《うえ》へ昇《のぼ》って見《み》たいと思《おも》って、塔《とう》の入口《いりぐち》を捜《さが》したが、いくら捜《さが》しても、見《み》つからないので、そのまま帰《かえ》って行《ゆ》きました。けれどもその時《とき》聞《き》いた歌《うた》が、心《こころ》の底《そこ》まで泌《し》み込《こ》んで居《い》たので、それからは、毎日《まいにち》、歌《うた》をききに、森《もり》へ出《で》かけて行《ゆ》きました。
或《あ》る日《ひ》、王子《おうじ》は又
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