たから、男《おとこ》は、もう一|度《ど》、取《と》りに行《ゆ》かなくてはならない事《こと》になりました。
 そこで又《また》、日《ひ》が暮《く》れてから、取《と》りに行《ゆ》きましたが、塀《へい》をおりて見《み》ると、魔法《まほう》つかいの女《おんな》が、直《す》ぐ目《め》の前《まえ》に立《た》って居《い》たので、男《おとこ》はぎょっとして、その場《ば》へ立《た》ちすくんでしまいました。すると魔女《まじょ》が、恐《おそ》ろしい目《め》つきで、睨《にら》みつけながら、こう言《い》いました。
「何《なん》だって、お前《まえ》は塀《へい》を乗越《のりこ》えて来《き》て、盗賊《ぬすびと》のように、私《わたし》のラプンツェルを取《と》って行《ゆ》くのだ? そんなことをすれば、善《よ》いことは無《な》いぞ。」
「ああ! どうぞ勘弁《かんべん》して下《くだ》さい!」と男《おとこ》が答《こた》えた。「好《す》き好《この》んで致《いた》した訳《わけ》ではございません。全《まった》くせっぱつまって[#「せっぱつまって」に傍点]余儀《よぎ》なく致《いた》しましたのです。妻《かない》が窓《まど》から、あなた様
前へ 次へ
全15ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
グリム ヤーコプ・ルードヴィッヒ・カール の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング