ず。詩は國民の精髓なり、大國民にして大詩篇なきもの未だ之あらず。本邦の前途をして多望ならしめば、本邦詩界の前途亦多望ならずんばあらず。本書收むる所余が新舊の作四十餘篇素より一として詩の名稱を享受するに足るものあらず。只一片の微衷、國詩の發達に關して纖芥の貢資たるを得ば幸のみ。著者不敏と雖ども自ら僭して詩人と爲すの愚を學ぶものに非ず。
[#地から7字上げ]東京に於て
明治三十二年三月[#地から2字上げ]土井林吉
例言
[#ここから改行天付き、折り返して2字下げ]
一、本書に收めたる諸篇の大多數は嘗て「帝國文學」及び「反省雜誌」に掲載せるもの、今帝國文學會及び反省雜誌社の許諾に因りて茲に轉載するを得たり、謹んで兩社に謝す。
一、詩を以て遊戲と爲し閑文字と爲し彫虫篆刻の末技と爲すは古來の漸なり、是弊敗れずんば眞詩決して起らじ。一般讀者の詩に對する根本思想を刷新するは今日國詩發達の要素なるを信ず。附録は泰西諸大家の詩論若くは詩人論なり。素是諸書漫讀の際偶然抄譯し置けるもの、故に精を窮め理を竭せるには非ずと雖も今日の讀詩界に小補なくんばあらず。敢て切に江湖の精讀を請ふ。
[#こ
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