新詩發生時代の思ひ出
土井晩翠

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)大凡《オホヨソ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)『|人生の歌《ゼサームオフライフ》』

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)テイン※[#小書き片仮名ヌ、1−6−82]など

 [#…]:返り点
 (例)時々深夜聞[#レ]鷄起
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 ブランデスやテイン※[#小書き片仮名ヌ、1−6−82]などに其例を見る通り、文學史を書く者の中には、勝手な豫定の觀念を基とし、これに當てはまる材料のみを引用して、何とかかとか纏りを附け度がる弊風がある。漢文學史の上にも澤山の類例があらう。元遺山の編と稱せられて、そして實際其編である事は間違ひない、と思はるゝ「唐詩鼓吹」に、明末清初の錢謙益(牧齋)が序文を書いて、中に明代三百年來の詩學の弊風を攻撃し、
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『あゝ唐人一代の詩各々神髓あり、各々氣候あり、然るを初唐盛唐中唐晩唐と無理に區分[#「無理に區分」に白丸傍点]して、
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