平の・その源を尋るに・本を務る學問の・枝に咲きたる花ならむ・花見て花を羨むな[#「花見て花を羨むな」に傍点]・本なき枝に花は無し[#「本なき枝に花は無し」に傍点]・一身の學に急ぐこそ[#「一身の學に急ぐこそ」に傍点]・進歩はかどる[#「進歩はかどる」に傍点]紆路《マワリミチ》・共にたどりて西洋の・道に榮る花を見む』
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これは昭和十年の今日でも傾聽するに足る、流石は一代の先覺である。全篇三卷を讀み通すと、明治初年に於ける世界の大勢が朧げながら伺はれる。(書中の固有名詞などの書き方が頗る振つてゐるのも一興。内留《ナイル》河、比羅三井天《ピラミイデ》、尻屋《シリヤ》、羽禮須多院《パレスタイン》、奈保禮恩《ナポレオン》、和阿戸留樓《ワートルロー》、治部良留多留《ジブラルタル》、金田《カナダ》、輕骨田《カルコツタ》、荒火屋《アラビヤ》、衞士府都《エジプト》、麻田糟輕《マダカスカル》等々々《トウトウトウ》)
但し流石の先生も、米國に行て其物質文明に眩惑されて、極端の米國崇拜となつたのは無理もない。
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『…天の道理に基きて・國に報ゆる丹心の・誠に出で
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