る第二高等學校に仕官し、卅四年海外漫遊に出かけ、卅七年秋、日露戰役の最中歸朝し、翌年再び二高に就職して爾來三十餘年、既往は眞に一夢のやうに感ずる。昨年、本官を辭したが、今なほ講師として奉職して居る。同僚中には、日露戰役後三年に生れた若い方もある。いつ迄も青年氣取りで、たまに晩翠翁なぞ新聞紙上に書かれると内々大不平だが、何とも致し方がない。呵々。
與へられた枚數が盡きたから、こゝで擱筆する。
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(附言)昨年秋出版の隨筆集、「雨の降る日は天氣が惡い」の序言中に述べた通り、私の姓は從來ツチヰと發音し來つたが、種々の理由でドヰと改音した。序ながら一寸こゝに書く。
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底本:「明治文學全集 58 土井晩翠 薄田泣菫 蒲原有明 集」筑摩書房
1967(昭和42)年4月15日発行
初出:「中央公論」中央公論社
1935(昭和10)年7月号
※底本は、物を數える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:門田裕志
校正:小林繁雄
2006年7月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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