て比較的自由な身となつて居る。『書物を讀む前に著者について大體の知識を持つのは便利だ』と Pryde の“Highway of Literature”にあるのが、尤もと思はれるから筆の序に書いた。
昭和二年秋博文館から在來の作を集めて『晩翠詩集』と題して刊行したが其序の中に
『偶然にも本集は靈界への希望に端を發して世界平和への希望に筆を收めてゐる‥。萬世の光である東西諸聖賢の共に一致するところ即ち尊きものに對する敬畏を著者は特に皷吹したいのである。神、人類《ヒユーマニテイ》、祖國は本書の中心觀念である‥‥』
今讀んで見るとちとえらがるやうで、何やら嫌な臭みがあるといふ批評を下さるるかも知れぬが『高山[#(ハ)]仰止、景行[#(ハ)]行[#(ク)]止、雖[#「雖」に白丸傍点][#レ]不[#「不」に白丸傍点][#レ]能[#「能」に白丸傍点][#レ]至[#「至」に白丸傍点]、然心郷[#「然心郷」に白丸傍点]−[#二]往之[#「往之」に白丸傍点][#一]』である。燭光にあこがれる愚かな蛾と見て載けば宜しい。また昭和七年夏刊行の新詩集『アジアに叫ぶ』の序の中に『今日思潮の渦卷き流るる中に唯物
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