いというので、男と女の死骸を蔵《おさ》めたままで、その柩を寺の西門の外に埋《うず》めると、その後にまた一つの怪異を生じた。
陰《くも》った日や暗い夜に、かの喬生と麗卿とが手をひかれ、一人の小女が牡丹燈をかかげて先に立ってゆくのをしばしば見ることがあって、それに出逢ったものは重い病気にかかって、悪寒《さむけ》がする、熱が出るという始末。かれらの墓にむかって法事を営み、肉と酒とを供《そな》えて祭ればよし、さもなければ命を亡《うしな》うことにもなるので、土地の人びとは大いに懼《おそ》れ、争ってかの玄妙観へかけつけて、何とかそれを祓い鎮《しず》めてくれるように嘆願すると、魏法師は言った。
「わたしのまじないは未然《みぜん》に防ぐにとどまる。もうこうなっては、わたしの力の及ぶ限りでない。聞くところによると、四明山《しめいざん》の頂上に鉄冠道人《てっかんどうじん》という人があって、鬼神を鎮める法術を能《よ》くするというから、それをたずねて頼んでみるがよかろうと思う」
そこで、大勢《おおぜい》は誘いあわせて四明山へ登ることになった。藤かずらを攀《よ》じ、渓《たに》を越えて、ようやく絶頂までたどり
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