と、またくり返すことになるのでした。
 二人が家へ帰ったとき、エミイは知らん顔をして本を読んでいました。ジョウは、帽子を二階へしまいにいきましたが、この前けんかをしたとき、エミイがひき出しをひっくり返したので、たんすやかばんや、たなの上などをしらべましたが、なんともなっていないので、エミイがじぶんを許してくれたものと思いました。
 けれど、それはジョウの思いちがいであることが、あくる日になってわかりました。その日の午後ジョウ[#「ジョウ」は底本では「メグ」]は血相をかえて、メグとベスとエミイが話しあっているところへ、とびこんで来て、息をきらして尋ねました。
「だれか、あたしの原稿とった?」
 メグとベスは、いいえといいましたが、エミイは炉の火をつついてだまっていました。
「エミイ、あなたですね。」
「あたし、持ってないわ。」
「じゃ、どこにある?」
「知らないわ。」
「うそつき! 知らないとはいわさないわ。さあ、早い白状なさい。白状しないか。」
 ジョウは、ものすごい顔でどなりました。
「いくらでも怒るがいいわ。あんなつまらない原稿なんか、もう出ないわよ。」
 エミイは、どうにでもなれ
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