もう一枚買うかもしれないけど、それじゃずうずうしいわ。だから、おとなしく待っていらっしゃい。」
 ジョウは、仕度にあわてて、針で指をさしたので、ますますふきげんになって、エミイをしかりつけました。
 エミイは泣き出しました。メグがなだめていると、階下でローリイがよんだので、二人は、いそいでおりていきました。二人が出かけていくのを、エミイは窓から見おろして、おどかすようにさけびました。
「今に、後悔するわよ。ジョウさん、おぼえていらっしゃい!」
「ばかな!」と、ジョウがやり返して、玄関の扉をぴしゃっと閉めました。
「七つの城」のお芝居は、とてもよかったので、三人はたのしく見物しました。けれど、ジョウはときどき、きれいな王子や王女に見とれながらも、[#「、」は底本では「。」]心にくらい影がさしました。妹が、後悔するわよといった言葉が、あやしく、耳にのこっていたからでした。
 ジョウとエミイは、前からよくはげしいけんかをしました。二人とも気がみじかく、かっとするとひどくめんどうなことになるのでした。けれど、二人とも長く怒ることはなく、けんかの後では、たがいによくなろうとするのですが、日がたつ
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