忘れたら、チョール人のおじいさんみたいに、子供らよ慈悲ちゅうもんを、ようくかんげえねせえと、おかあさん、おっしゃって下さい。」と、いいました。これでおもおもしい空気が、あかるくなりました。
第五 おとなりどうし
「まあ、ジョウ、なにをなさるの?」
ある雪のふる午後、妹のジョウがごむ靴をはき、古ばけた上衣に、ずきんといういでたちで、ほうきとシャベルをもって広間へ出て来たのを見て、そうたずねました。
「運動にいくの。」
「今朝、二度も散歩して来たんだもの、たくさんだわ。家にいて火にあたりなさいよ。」
「いやなこった。ねこじゃあるまいし、火のそばでいねむりなんかするの大きらい。あたし冒険がすき、これからなにかさがしにいくの。」
メグは炉に足を出して本を読み、ジョウは通路の雪をどけはじめました。ところで、マーチの邸はローレンスの邸と、生垣でへだてられていました。いずれも、森や芝生の多い、いなかめいた気分のなかにつつまれていましたが、ローレンスの邸では、大きな馬車をいれる納屋や、温室や、りっぱな石づくりの家があるのに、マーチの邸には、赤茶けたふるびた家が見すぼらしくあ
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