やうるさくして、書けやしません。」と、おかあさんは手紙の書きそこないを消しながらいいました。
それで、ちょっと静まりました。ハンナが来て、熱いパイを二つおいて、出ていきました。姉妹たちのいく道は遠く寒く、三時前までに帰れないので、これはおべんとうでもあり、また、手をあたためることもできました。それでこのパイのこと「マフ」ともよんでいました。
「では、かあさんいってまいります。今朝はあたしたちだだっ子でした。でも、天使になって帰って来ます。」
ジョウは、そういって、メグといっしょに出かけました。町角でふりかえると、いつも窓でにっこり笑うおかあさんの顔があり、それが励ましになるのでした。二人は今朝もふりかえり、おかあさんの笑顔を見ると、元気になろうとつとめ、しばらく歩いてから、べつべつの道をいきました。メグは保姆の仕事、ジョウはマーチおばさんのところへはたらきにいくのでした。
おとうさんが、不幸な友人を救おうとして財産を失くしたとき、二人はすこしでも家のためになりたくてはたらき、それからずっとはたらいているのです。メグの給料はわずかで、しかもまい日キング家で、年上の姉妹たちが、ぜいた
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