た。エミイは勉強がはかどらないのに[#「はかどらないのに」は底本では「はがどらないのに」]、ゴム靴が見つからないのでぷりぷりしました。ジョウは口笛をふいて、さわぎをひきおこしかねないようすでした。おかあさんは、いそぎの手紙を書くのにいそがしく、ハンナも前の晩おそかったので、ふきげんでした。
「こんないじわるの家ってありやしない!」
 ジョウは、インキのつぼをひっくり返し、靴のひもを二本とも切ったので、とうとうかんしゃくを起して、じぶんの帽子の上にどさりとすわり、大声でそうさけびました。
「なかで、あなたが一ばんいじわるよ。」と、エミイがやり返し、石盤の上にこぼした涙で、まちがいだらけの計算を消してしまいました。[#「。」は底本では「。」」]
「ベス、こんなうるさいねこ。あなぐらにほうりこんでおかないと。水でおぼれさせれしまうわよ。」と、メグは、じぶんのせなかにかじりついたねこを、はなそうとしながらいいました。
 ジョウは笑う。メグはしかる。ベスはあやまる。エミイは、十二の九倍がいくつになるか、わからなくて泣きました。
「さあ、しずかにしておくれ、今朝早く出さなければならないのに、がやが
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