十五ですか?」
「来月、十六です。」
「あたしは大学へいきたいけれど、あなたはいきたそうではありませんのね。」
「ぼくはいやです。ぼくはイタリイに住んでじぶんの好きなように暮したい。」
 ジョウは、ローリイのいう、その好きなように暮したいということを、くわしく聞きたいと思いましたが、眉をひそめてふきげんに見えたので、気をかえさせようと思って、足拍子をとりながら、
「ああ、いいポルカね。あなたなぜいってダンスなさらないの?」と、尋ねました。
「あなたもいけば。」
「あたしはだめ。あたし姉さんに踊らないといったの、なぜって、いうと……」
 ジョウが、いおうか、笑ってすまそうかとしていると、ローリイは、しきりにわけを尋ねます。だれにもいわないならばと念をおして、
「服にやけこがしがあるんです。あたしわるいくせがあって、よくやけこがしするの。」
 ローリイは笑いませんでした。
「そんなこと平気ですよ。それじゃ、あっちの細長い広間で踊りましょう。だれにも見られないから。」
 ジョウは感謝して、よろこんでついていき、だれもいない、その広間で、ポルカを踊りました。ローリイは、ダンスがじょうずで、ドイ
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