らしいというようなことが話されました。すると、おかあさんは、
「ぼっちゃんは、りっぱな紳士のようです。いい折があったらお友だちになるといいと思います。この花は、じぶんで持っていらっしゃいました。二階のさわぎを耳にして、さびしそうに帰られたのです。」
「では、いつか、ぼっちゃんが見てもいいお芝居をしましょう。」と、ジョウがいいました。
「あたし花束なんか、もらったことないわ。きれいねえ。」と、メグは花束に見入っていました。そのとき、おかあさんが、
「花束はかわいいけれど、ベスさんのばらはなおかわいい。」と、いって、胸にさしたベスのしぼみかけたばらをかぎながらいいますと、ベスはおかあさんに身をすりよせて、
「あたし花束をおとうさんのところへお送りしたかったの、おとうさんは、あたしたちみたいに、たのしいクリスマスをしてはいらっしゃらないでしょう。」と、小さい声でいいました。

          第三 ローレンスのぼっちゃん

「ジョウ、どこ!」と、メグが屋根部屋の梯子の下からよびました。
「ここよ。」
 かけあがっていくと、ジョウは日なたぼっこをして林檎をかじりながら本を読んでいました。

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