ごかしていましたが、どうしたものか、ジョウがまだ帰りません。みんなそろそろ心配しはじめていると、ジョウがみょうな表情で帰って来ました。そして、すこし声をつまらせて、
「これおとうさんの御病気がよくなって、家へお帰りになれるようにと思ったあたしの心持だけなの。」と、いっておかあさんにおさつのたばをわたしました。
「まあ、どこから手にいれたの? 二十五ドル、ジョウ、あんたはとんでもないことしやしませんか?」
「いいえ、りっぱなあたしのお金です。じぶんのもの売ったお金です。」
 ジョウが帽子をぬぐと、みんなは、あっ!と、おどろきの声をあげました。ふさふさした髪の毛はみじかく切られていました。
「このほうが、さっぱりして気持がいいわ。じぶんの髪をじまんして、虚栄心を起しそうだったが、これでもいいわ。どうぞお金とってちょうだい。」
「ジョウ、おかあさんは、満足とは思いませんが、しかりはしません。あなたが愛のために、虚栄心を犠牲にしたことはよくわかります。でもね、そんなことまでする必要はなかったのです。いつか後悔するでしょうね。」
「いいえ、そんなことありませんわ。」と、ジョウは、じぶんのしたこと
前へ 次へ
全262ページ中180ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
水谷 まさる の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング