もしろくない仕事に、だれも不平をいいませんでした。
 九時に仕事をやめて、いつものとおり、おわる前に歌を合唱しました。ベスはおんぼろピアノで、こころよい伴奏をしました。メグは笛のような声で、おかあさんと二人で、この合唱隊をリードしました。姉妹たちは、この歌を、
「きらりきらり、ちっちゃな、星さま」と、まわらぬ舌でうたったころから、今だにつづけて[#「つづけて」は底本では「つづけで」]います。おかあさんは生れつきうたがじょうずなので、これが行事の一つとなったわけでした。朝、まず聞えるのは、家のなかを、ひばりのようにうたうおかあさんの声で、晩に聞える最後の声も、おなじたのしいその声でした。姉妹たちはいくつになっても、そのなつかしい子守唄を、聞きあきるということはありませんでした。

          第二 たのしいクリスマス

 クリスマスの朝、まだほのぐらい明方に、ジョウが一ばんさきに目をさました。ジョウは、おかあさんとの約束を思いだして、枕の下へ手をさしこみ、小さい赤い表紙の本をひきだしました。それはこの世でもっともすぐれた生活をした人の美しい物語で、よい道案内だと思いました。ジョウ
前へ 次へ
全262ページ中18ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
水谷 まさる の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング