帰っていきました。こんなことを二三回くりかえしたあげく、まるで歯をすっかりぬいてもらうような悲壮な顔つきで階段をのぼっていきました。その建物には歯科医もあったのです。
 それを見ていたのは、むかいがわの建物の、窓のところをぶらぶらしていたわかい紳士でした。
「一人で来るなんて、あの人らしいな。けれど、気分でもわるくなったら、家までつきそってあげなくちゃ。」
 十分とたたないうちに、ジョウはまっかな顔をして、なにかおどろくほど苦しい目にあったように階段をかけおりて来ました。わかい紳士は、ほかならぬローリイでしたが、ジョウがちょいと頭をさげていきすぎたので、すぐに後をおって尋ねました。
「とても痛かった?」
「そんなでもなかったわ。」
「早くすんだねえ。ずいぶん。」
「ええ、うまくいったわ!」
「どうして一人でいったの?」
「たれにも知らせたくなかったからよ。」
「ずいぶん、かわっているんだね。きみは、それで、なん本ぬいたの?」
 ジョウは、ローリイのいう意味がわからないのでかれの顔をながめましたが、はっと気がついて、おもしろくてたまらないというように笑いました。
「二本ぬいてもらいたいん
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