て、せっせと編みました。
おかあさんは、ジョウの言葉につづいた沈黙を、快活な声でやぶりました。
「あなたたちが小さかったとき、「巡礼ごっこ」の遊びをしたことおぼえていますか? みんなせなかに、あたしの小布のふくろをしょって、帽子をかぶり杖をつき、まいた紙をもって、破滅の市の地下室から、日の照っている屋根の上までいき、そこで天国をつくるために、いろいろな美しいものをいただくくらい、うれしいことはなかったでしょう。」
みんなは、そのときのいろんなできごとを思いだして話しましたが、エミイまでが、もうこんなに大きくなっては、あんなあそびできないというのをとがめて、おかあさんはいいました。
「いいえ、年をとりすぎてはいません。あたしたちは、まあお芝居をしているようなものです。荷物はここに、道は目の前にあります。よいことと、しあわせを求める心が、たくさんの苦労や、あやまちのなかを通りぬけて、ほんとの天国、いいかえれば平和に導いてくれるのです。さあ、小さい巡礼さんたち、今度はお芝居あそびではなく、本気でやって、おとうさんがお帰りになるまでに、どのあたりまで巡礼ができるか、やってみてはどう?」
「
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