やかしました。ジョウは、ナフキンをほうりあげてさけびました。
「手紙だ、手紙だ、おとうさん、ばんざい!」
「ええ、いいお便りです。おとうさんは、おたっしゃで、案じていたほどでもなく、この寒い冬を元気でお過しなされそうですって。」
おかあさんは、そういって、まるで宝物でもはいっているように、ポケットをたたいて見せました。さあ、もうゆるゆる食事なんかしていられません。パンを床に落したり、お茶にむせたりしてたいへんでした。
「さあ、それでは、お手紙を読んであげましょうね。」
みんなは、ストーブの前にあつまりました。おかあさんはソファにかけました。こういう非常のときの手紙は、つよい感動をあたえるものですが、この手紙もそうで、危険に身をさらしたとか、つらいとかということは、すこしも書いてなく、露営、進軍、戦況などがいきいきとした筆で書かれ、たのしく希望にみちていましたが、最後のところで、大きな感動をあたえました。
「娘たちに、わたしの愛とキスをあたえて下さい。昼は娘たちのこと思い、夜は娘たちのために祈り日夜娘たちの愛情のうちに慰めを見出しています。娘たちとあうまでの一年は、長く思われるが、待
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