ほど、スリッパが火にかかっていました。ベスは、おけいこを見て夢中だったのです。みんなは大笑いしました。
「ずいぶん、たのしそうね。」と、戸口でおかあさんの声がしました。ねずみ色の外套を着て、流行おくれのボンネットをかぶったおかあさんも、娘たちの目には、この世でならびない、すばらしい人としてうつりました。
「今日はべつになんにもなかったの? おかあさんは、明日送りだす慰問箱の仕度でいそがしくて、御飯までに帰れなかったの。ベス、どなたかお見えになった? メグ、かぜはどう? ジョウ、あなたはひどく疲れているのね、さあさあ、みんな来て、キッスしてちょうだい。」
マーチ夫人はぬれた外套をぬぎ、あたたかいスリッパをはき、ソファに腰をおろして、エミイ[#「エミイ」は底本では「アミイ」]を膝にのせ、多忙な一日の一ばんたのしいときを、たのしむのでした、メグとジョウとベスは、さっそくとびまわって、食事の支度をし、すべてととのうと、みんなテーブルのまわりにつきました。
「晩御飯がすんだら、みんなにおみやげをあげますよ。」
さっと、あかるいほほえみ[#「ほほえみ」は底本では「ほえみ」]が、みんなの顔をかが
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