り、もも色キャラコを青くしたり、おかしくてころげるほど笑いました。ベスさまは一ばんよくできたかたで、手まわしがよく、わたしは大助かりです。なんでもおぼえようとなされ、市場の買出しにもいかれます。みんなでずいぶん険約しおくさまのおおせどおり、コーヒーも一週間に一回、食物は栄養のあるものにして、ぜいたくいたしません。エミイさまは、よい服を着たがったり、お菓子をほしがったりして、だだをこねなさるときもあります。ローリイさまは、あいかわらずのあばれんぼうですが、みなさんを元気づけて下さいますので、けっこうです。パンがふくらみかけたので、これでやめます。だんなさまによろしくお伝え下さいませ。肺炎が早くなおり[#「なおり」は底本では「おなり」]ますようお祈りいたしております。ハンナ・マレットより。
第二号付看護婦長殿
ラパハノック川岸はきわめて静かにて全軍士気さかん。兵站部の処置よろし。テディ大佐指揮の国防軍その警備にあたる。司令長官ローレンス将軍は、まい日軍隊の検閲をなされ、給養係マレットは宿舎をととのえ、ライオン少佐(犬の名)は夜中歩哨の任につく。ワシントンよりの吉報に、二十四発の祝砲をはなち、司令部に大観兵式をおこのう。司令長官の熱誠あふるる祝福をお伝えし、全快を祈るものなり テディ大佐
親愛なる夫人よ――御令嬢方みな無事。ベスと小生の孫は、まい日お便りいたしています。ハンナは模範的な召使、美しいベスさんを、まるで竜のように守っています。上天気つづきなにより、どうぞブルックを御遠慮なくお使い下されたく、なお、費用お見込をこえる場合、当方よりお引出し願いたく、御主人に御不自由なきよう、御快方におもむかれしことを神に感謝いたしております。あなたの忠実な友であり召使の ジェームス・ローレンス。
第十七 小さな真心
はじめの一週間というものは、マーチ家の美徳は、となり近所へ配給してもあまりあるくらいでした。たしかにおどろくべきもので、たれもかれも申しぶんのない、よいきげんでしたし、わがままをおさえました。けれど、おとうさんについて、はじめのような心配がなくなると、しだいに気がゆるみ、標語の、せっせとはたらくということも怠りがちとなり、非常な努力のあとだもの、休んでもよかろうという気持で、たびたび休みました。
ジョウは、髪をきった頭をつつまなかったので、かぜをひき、マーチおばさんは、なおるまで来るなといいましたので、それをいいことにして休みました。エミイは、家の仕事をやめて粘土細工をやりだしました。メグはキング家から帰ってする針仕事に、あまり身をいれなくなり、ワシントンへ手紙を書いたり、ワシントンから来た手紙をくりかえして読んだりしました。ベスだけは、たいして怠けず、まい日こまごました小さな仕事を忠実にやりました。おかあさんのことがこいしく、おとうさんのことが心配になるようなときは、戸だなへはいってすすり泣き、こっそり祈りました。
おかあさんが出発してから十日後、ベスがいいました。
「メグねえさん、ハンメル家へいって見て来ていただきたいわ。おかあさんはあの人たちのこと忘れないようにと、おっしゃったでしょう。」
すると、メグはあまり疲れたからいけないといいます。そこで、ベスはジョウねえさんに頼むと、かぜをひいているからといってことわりました。
「あなた、どうしてじぶんでいかないの?」と、メグが尋ねました。
「あたし、まい日いってるのよ。だけど、あかちゃん病気していて、どうしていいかわからないの。おばさんは、はたらきにいってしまうし、ロッチェンが看病してるけど、だんだんわるくなっていくようよ。おねえさんかハンナがいかなければだめだと思うわ。」
ベスが熱心にいうので、メグは明日いくと約束しました。
「ハンナに頼んで、なにかおいしいものつくって、もらって持っていっておやりなさいよ。ベス、[#「、」は底本では「・」]外の空気はあなた[#「あなた」は底本では「おなた」]の身体にいいわ。」と、ジョウはいって、また、いいわけらしく言葉をそえました。「あたしもいってあげたいけど、この小説書きあげてしまいたいのよ。」
けれど、ベスは、
「あたし頭痛がしてくたびれているの。たれかいって下さるといいのに。」と、いかにも疲れているようなようすでした。
「エミイが、もうじき帰ってくるわ。あの子に一走りいってもらうといい。」と、メグがいいました。
「では、あたしすこし休んで、エミイの帰るの待っていますわ。」
そういってベスは、ソファに横になりました。メグとジョウは、それぞれの仕事にかかり、一時間あまりたってもエミイは帰りませんでした。ハンナは台所でいねむりをしていました。ベスは、しかたなしに、そっと頭巾をかぶり、かわいそうな子
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