びらかさなくてもいいわけです。」
ジョウが、そのとき、
「あなたの帽子や服やリボンを、みんな一度に身につけて、人に見せびらかさなくてもいいわけね。」と、いったので、おかあさんのお説教は、にぎやかな笑い声のなかにおしまいとなりました。
第八 ジョウの原稿
エミイが、土曜日の午後、ねえさんたちの部屋へいくと、メグとジョウが外出の支度をしていましたが、ないしょらしいので、
「おねえさんたち、どこへいらっしゃるの?」と、尋ねました。すると、ジョウは
「どこへだっていいじゃないの、小さな[#「小さな」は底本では「小さに」]子はそう聞きたがらないものよ。」と、つっけんどんにいいました。
「わかったわ! ローリイといっしょに、七つの城のお芝居を見にいらっしゃるのね。あたしもいくわ。おかあさんは、見てもいいとおっしゃったわ。あたしお小遣もあるし。」
メグは、なだめすかすように、
「まあ、あたしのいうことをお聞きなさいよ[#「お聞きなさいよ」は底本では「お聞ぎなさいよ」]。おかあさんは、あなたの目がまだなおっていないから来週ベスやハンナといっしょに、いくといいって。」
エミイは、あわれっぽい顔をして、
「いやだあ、おねえやんやローリイといく、半分もおもしろく[#「おもしろく」は底本では「おおもしろく」]ないわ。ね、お願いだからいかせてよ。長いことかぜひいて家にばかりいたんですもの、ねえ、おとなしくしますから。」と、せがむのでした。
「いっしょに[#「いっしょに」は底本では「いっしに」]つれていってはどう? あつ着させていけば、おかあさんだって、なにもおっしゃらないでしょう。」と、とうとうメグが、しかたがないというようにいいました。
「それなら、あたしいかないわ。二人だけ招待されたのに、つれていくのは失礼だわ。」
このジョウのいいかたや態度は、ますますエミイを怒らせました。靴をはきながら、エミイは、
「メグねえさんがいいっておっしゃったから[#「から」は底本では「かち」]、あたしいきます。じぶんで切符買うから、ローリイにめいわくかけません。」
「あたしたちのは指定席よ。と、いって、あなた一人はなれていられないしさ、そうすると、ローリイがじぶんの席をゆずるでしょう[#「でしょう」は底本では「ででよう」]。それじゃ、つまらない。もしかしたら、ローリイが切符
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