一ばんほしいものは?」と、ローリイがいいましたが、ほしいものをいえば、ローリイがくれそうなので、わざと、
「靴のひも」と、答えました。
「そんなのだめ、ほんとのこといわなくちゃ。」と、ローリイ。
「天才、あなたは、あたしに天才をくれたいと思わない?」と、ジョウはいって笑いました。
「男の美点のなかで、なにが一ばんだいじ?」
「勇気と正直」
 すると、フレッドが、
「今度はぼくのばんだ。」と、いいました。
 ローリイが、あれをいっておやりと、ささやいたので、ジョウはすぐにきり出しました。
「クロッケーでインチキやらなかった?」
「うん、ちょっと。」
「よろしい、きみのさっきの尻とり話、海のライオンという本からとらなかった?」と、ローリイ。
「いくらかね。」
「イギリス国民は、あらゆる点で完全と思いますか?」と、サリー。
「そう思わなかったら、イギリス人の自分は、はずかしいですよ。」
「それでこそほんとのイギリス人だ。さあ、今度はサリーのばんだ。」
「あなたは、じぶんをおてんば娘だと思いませんか?」と、ローリイ。
「ひどいわ。そんな女じゃないわ。」
「なにが一ばんきらい?」と、フレッド。
「くもと、ライス・プディング。」
「一ばん好きなのは?」と、ジョウ。
「ダンスとフランスの手ぶくろ。」
 そのとき、ジョウが、頭をふって、
「つまらない遊びね。それより作家トランプを、おもしろくやらない?」
 ネッドとフランクと小さい女の子がくわわって遊んでいるあいだ、[#「、」は底本では「。」]年上の三人はそこからはなれて腰をおろして話しました。ケイトは、ふたたび写生帳をとり出してかき、メグはそれをながめブルック先生は草の上にねころんでいました。メグは、ケイトのかくのを見て、おどろきの声で、
「なんておじょうずなんでしょう! あたしもあんなにかいてみたいわ。」と、いいました。
「どうして、おけいこなさらないの? あなたは絵の天分がおありですわ。」
 それから、家庭教師のことになり、ケイトは家庭教師について習ったから、あなたも家庭教師に習うといいといいました。メグは家庭教師につくどころか、じぶんは家庭教師として教えにいっているといいますと、ケイトは、
「まあ、そうなんですの。」と、いいましたが、そのいいかたは、おやおや、いやなことだと、いうような調子でした。ブルック先生は、とりなすよう
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