胡蝶《こちょう》の精にでもなったように思われて、思わず足どり軽く踊りはじめるのでありました。
『さあ、それでは馬車へお乗り。だが、いっておくがね、舞踏会には夜半《よなか》の十二時までしかいられないのだよ。それから一分でも過ぎようものなら、この馬車はもとの南瓜になるし、馬は二十日鼠になるし、馭者は鼠になるし、この美しい服はもとのぼろ服になってしまうんだよ。』
『わかりました。それでは、かならず十二時前に帰ってまいります。』
シンデレラは、かたくお婆さんに約束をして馬車に乗りました。馭者が、ピュッと鞭《むち》を鳴らすと、馬車はしずかに動いて行きました。
このりっぱな六頭立の馬車が、御殿へついた時、番兵は驚いて知らせに行きました。
『どこのお姫さまか存じませんが、それはそれは美しいお姫さまが、只今《ただいま》、六頭立の馬車でお越しになりました。』
それを聞いた王子さまは、わざわざ出迎えに出て、シンデレラの手をとって、馬車から助けおろし、広間へ案内しました。
美しい広間では、今しも大勢の人が踊っていましたが、王子さまが案内して来た美しいお姫さまを見ると、みんな踊をやめて見とれてしまいま
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